最初の問いは“場所”だった
開業しよう——そう決めたとき、
最初に向き合ったのは、場所選びでした。
どういった診療をするか、どんな空間にしたいか。
そうしたビジョンよりも先に、
「どこに構えるか」という問いが、思った以上に大きく立ちはだかってきました。
馴染みのある場所だから
候補として最初に挙がったのは、円山エリア。
以前からよく通っていた場所であり、今の自分の生活圏でもあります。
人の流れや街の雰囲気も、肌感でなんとなく分かる。
開業後のイメージを描きやすい土地でした。
けれど、美容クリニックとしてやっていくことを考えたとき、
どれだけ新しい患者さんとの接点を持てるのか――その点には少し不安が残りました。
地域に根付いた医療機関が求められるエリアであることは間違いありませんが、
外から人が流れ込んでくる導線という意味では、やや限定的かもしれない。
そんなふうに感じたのを覚えています。
もうひとつの選択肢
一方で、気になっていたのが札幌駅〜大通〜すすきのにかけての中心部。
競合が多いという点では慎重になる必要がありましたが、
人の流れが絶えないエリアであることは、やはり大きな魅力でした。
特に、SNSやWebを見て来院される方との接点を考えたとき、
アクセス性や視認性の高い立地は、クリニックにとって大きな強みになる。
そんな思いもありました。
想像と現実のあいだで
円山、そして都心部。
それぞれの魅力と難しさを行き来しながら、
私は、インターネットで物件情報をひたすら調べる日々を過ごしていました。
実際に目にした物件の一例は、こんな具合です。
- 円山エリア
クリニック向けの新築テナントで、坪単価はおおよそ12,000〜22,000円前後。 - 札幌駅〜大通エリア
駅直結やアーケード近辺などは非公開物件も多く、
目安として30,000円前後/坪になるケースも。
ランニングコストをどうコントロールするか。
クリニック経営の現実的な重みを、初めて実感した瞬間でした。
広さについて考える
テナントを探しながら、自然と考えるようになったのが広さのこと。
内装や動線まで含めて理想を膨らませると、
つい広めの空間を前提に考えてしまいがちですが、
「本当に必要な広さは?」「維持できるサイズ感は?」と、
何度も立ち止まることになりました。
最終的に、ひとつの目安として考えたのが40坪前後。
カウンセリング、処置、洗顔、スタッフ動線。
必要な機能を詰め込みすぎず、かといって不足のない広さ。
“ちょうどよく始める”という感覚を持ち始めたのも、この頃だったように思います。
手がかりを求めて
とはいえ、初めてのことばかりで分からないことだらけ。
私はKindleで「クリニック 開業」や「美容医療 経営」と検索し、
気になる本を何冊か読み始めました。
画面越しの言葉に、すぐ答えがあるわけではありませんでしたが、
「考えるヒント」が少しずつ蓄積されていくような感覚がありました。
次回予告|Behind Glowa #04
開業という旅に、伴走してくれる存在——開業コンサルタントとの出会い
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