Behind Glowa #12|レイアウト vol.7

3社の図面がそろい、選んだ一つのかたち

3社すべての再提案が出そろいました。
ここまで、たくさんの図面を見てきたはずなのに、どれも少しずつ違っていて、選ぶのは想像以上に難しい。
それでも「どこかで決めなければならない」そのタイミングが、ついに来たように思います。

また新たな課題

まずご紹介したいのは、vol.4でもご紹介した設計会社さん。
以前は「保険診療スタイルかもしれない」と感じた図面を提案されたものの、
その後の打ち合わせで、印象を大きく覆す洗練されたプランを見せてくださった会社です。

今回の再提案は、基本的な構成こそ前回と同様でしたが、

  • スタッフと患者さんの動線を分けた構成
  • 明確なゾーニングとスムーズな流れ
  • 私自身では思いつかなかった導線設計

といったポイントが、やはり際立っていて、改めて「よく考えられているな」と感じさせられるものでした。

ただその一方で、新たな法的な課題が浮上することに――。

札幌市の「福祉のまちづくり条例」によると、
出入り口のある部屋が廊下を挟んで“対面”している場合、廊下幅は1.6m以上必要とのこと。

このプランでは、契約室や写真撮影室、診察室などの出入口が廊下を挟んで向かい合う形になっており、この規定に抵触してしまう可能性があると判明しました。

幸い、バックヤードを少し縮小することで1.4m幅の範囲に収められそうという見通しも立ちましたが、こうした微調整の連続が続いています。

デザイン性は高い。でも…

2社目は、美容医療の設計に慣れている会社。
今回も、洗練された印象の図面を提示してくれました。

ただ、前回のような柔軟な調整提案があったわけではなく、
提示されたレイアウトを見て私が感じたのは、スタッフと受付の“距離感”でした。

窓際にバックヤードを配置した案では、受付とバックヤードが離れてしまい、受付とナースが心理的にも物理的にもつながりにくさを感じてしまいます。

また、患者さんの動線上をスタッフが横切る構造になっており、
想像してみると「動きに落ち着きがない空間」になるように思えました。

どんなに美しい空間でも、動きが慌ただしく見えてしまうと、ラグジュアリーな雰囲気は損なわれてしまう。
そんな気づきもありました。

仕切り一枚で処置室?

最後の会社は、処置室をひとつにまとめて、カーテンで仕切るレイアウトを提示。
こちらもスタッフ動線と患者動線を分ける工夫がありました。

ただ、やはり気になったのは「カーテン仕切り」という選択肢。
音や気配をあまり遮れない空間は、美容医療の安心感にはどうしてもそぐわないと感じてしまいました。

決めたのは、“どんでん返し”のプラン

最終的に選んだのは、vol.4で印象が一変した、最初の会社のプラン。
今回の打ち合わせでは新たな提案はなかったものの、前回のプレゼンで提示された内容が、やはり一番心に残っていたのです。

1.6mの廊下幅問題などの課題もありましたが、主な動線はしっかり分けられており、
何よりも「処置室を個室で仕切る」という点は譲れないこだわりでした。

他の案も魅力はありましたが、動線・プライバシー・連携のバランスを踏まえると、
やはりこのプランが一番「現実的かつ、自分らしい」と感じられたのです。

ここからは“空気感”を整えるステージへ

図面が決まり、次は分電盤・給排水・間仕切りなどの具体的設計へ。
ここからは“空間の骨格”ではなく、“空気の質”を整えるステージに入っていきます。

光の入り方、素材の選び方、音の響き方…。
どれも、患者さんが感じる「なんとなく落ち着く」の正体に関わる要素。
次の工程でも、そんな見えにくい部分に心を配っていきたいと思っています。

次回予告

レイアウトのお話はいったんここで一区切り。
また、内装を詰めていく段階であらためて綴っていきたいと思います。
次は少し視点を変えて、別のテーマでお話しする予定です。どうぞ気楽にお付き合いください。

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