この日は、美容クリニック設計に強い設計会社さんとの、2度目の打ち合わせ。
前回のブラッシュアップ案を踏まえ、より「世界観」に踏み込んだプレゼンになると聞いていたこともあり、少し楽しみにしながら臨みました。
コンセプトムービーというサプライズ
プレゼン冒頭、「空間の世界観を感じていただきたくて」と映し出されたのは、
一枚絵のようなCG空間がゆっくり展開していく、コンセプトムービー。
白を基調に、やわらかな光と静かな音楽が重なり、
空間全体が“癒し”として伝わってくるような、美しい映像でした。
立ちはだかる「監理の壁」
打ち合わせは、そんな温かなスタートから始まりましたが、
後半にはやはり“現実的な課題”が立ちはだかります。
それが、「内装監理室」による設計制限の話。
ビル全体を統括する管理部門である「内装監理室」。ここからの指示によると
- 窓面の壁には仕切りを設けないこと
- 間取りや構造が、外観のガラス張りと矛盾しないこと
などのガイドラインがあり、今回のレイアウト案も、調整が必要になる可能性があるとのことでした。
“無駄”が生まれる違和感
窓側に仕切りが設けられないことで、
結果的に手術室が不自然に広くなってしまい、スペース効率が下がるという問題も出てきました。
限られた約40坪という面積のなかで、
このような“思いがけない制約”によってデッドスペースが生まれるのは、非常にもったいないことだと感じます。
柔軟な提案に救われる
とはいえ、設計会社さんは落ち着いた様子で代案を提示してくれました。
- 「別案として、バックヤードを窓側に配置するプランも作ってみます」
- 「バックオフィスと分かれますが、自然光のある場所での作業は、案外心地よいかもしれませんね」
導線的には少し不安が残る案でしたが、
“働く人が気持ちよく過ごせる空間”という視点を持ってくれていることに、少し救われる思いがありました。
理想と現実、そのあいだ
開業準備を進めていると、理想と現実の狭間で迷う場面が何度もあります。
「こうしたい」と思って描いたものが、
建築的な制約によって崩れてしまうこともある。
一方で、制約の中にこそ生まれる工夫や、
自分では気づけなかった選択肢が見えてくることもあります。
窓側の制限に、一筋の光
今回、「窓に仕切りは設けられないかもしれない」との話が出たことで、
レイアウト全体の再検討が必要になるかもしれないと、一時は緊張感が高まりました。
けれど後日、他の関係者にも確認したところ、
外観の問題上、窓際1mの部分には窓と並行の壁の設置を禁じるという内容のようで、仕切りは窓から垂直に立てられるので問題ないとの回答をいただき、少しホッとしています。
光のある場所に、スタッフの居場所を
それとは別に、提案された「バックヤードを窓側に配置するプラン」も、
実はほんの少し楽しみな気持ちがあります。
裏方で閉鎖的になりがちな空間に、自然光が差し込むことで、
スタッフにとってもふっと力が抜けるような時間が生まれるかもしれない。
そんな小さな希望が、静かに心に残る打ち合わせでした。
次回予告
vol.7では、最終的に選ぶレイアウト案に向けて、
“譲れないもの”と“工夫できること”を整理しながら、決断に至るプロセス。
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