図面を前に、ふと立ち止まった
レイアウトについての話がひと段落したところで、今回は、少し時間をさかのぼったお話です。
物件が決まり、いよいよレイアウトの検討が始まった頃。
図面を見つめながら、受付の位置や動線、処置室の配置などを一つひとつ決めていく中で、
手が止まる瞬間がありました。
それは単に“空間”をどう設計するかではなく、
“この空間で、何を届けていくか”に目を向けるタイミングだったのだと思います。
すべての判断に、必要な“軸”
図面の上では、線や数字が優先されます。
けれど、その線の内側で過ごす患者さんやスタッフの姿を想像したとき、もう少し大きな視点をもたなければと考え始めました。
以前読んだ著書に、こんな言葉がありました。
「理念なき経営は、地図なき航海である」
その意味が、少しずつ腹落ちするような感覚がありました。
レイアウトや導線の設計だけでなく、スタッフの採用や治療メニューの構成においても、
すべてに共通して必要なのは、「私たちは何者で、どこに向かおうとしているのか」という“軸”です。
なぜ、美容医療なのか
実はこの問いは、融資面談でも聞かれました。
「なぜこの分野で?」「なぜ今、美容医療を?」
私自身、外科医として、命の現場に身を置いてきました。
患者さんの生死に関わる選択を繰り返す中で、
もっとその先にある“日常の幸福”に深く関わっていけたら…と感じるようになったのです。
美容医療は、命を救う医療ではありません。
けれど、自分らしさを取り戻したり、誰かに会いに行く勇気が湧いたり――
その人の一歩をそっと後押しできるものだと思っています。
そうした医療のあり方に、私は惹かれました。
そして、こうした医療を届ける場所を、自分の手でつくりたいと思うようになったのです。
美容医療を通じて、人生を豊かに
レイアウトを考えていくうちに、どうしても向き合わざるを得なかったのが、「この場所で、どんな医療を届けていくのか」という問いでした。
行き着いたのは、この考え方でした。
美容医療を通じて、関わる人の暮らしや生き方を、少しでも豊かにすること。
外見の変化だけでなく、心の在り方や、日々の過ごし方にそっと寄り添う。
治療そのものよりも、その先にある暮らしや選択が、少し前向きになったり、自分らしくなったりするような関わり方を目指したいと思っています。
その人が「こうありたい」と願う気持ちに寄り添い、「変わりたい」と思ったときに、そっと背中を押せる存在でありたい。
それは、患者さんだけでなく、スタッフ、家族、そして自分自身にも向けた願いでもあります。
この理念が、Glowa Clinicのあらゆる判断や行動の出発点となっています。
次回、「名前に込めた想い」の話
次回は、このクリニックに「Glowa」という名前を選ぶまでの過程について書いてみたいと思います。なぜこの言葉に惹かれたのか。そこには、私たちがどんな医療を届けていきたいかという思いが反映されています。
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