Behind Glowa #17|肌を育てるということ(Part2)

肌育って、結局なに?

最近、「肌育」という言葉をよく耳にするようになりました。
肌育注射、肌育プログラム、肌育パック──。
美容医療の現場だけでなく、SNSや広告の中でも当たり前のように使われています。

でも、その意味や目的は、じつは人によって少しずつ違っていたりします。
製剤の名前だけが先行し、「肌育=肌に良いものを入れること」になってしまっていることも。

前回のPart1では、「創傷治癒」と「肌育」の違いを整理しました。
今回は、肌を本質的に“育てていく”注射製剤たちについて、改めて考えてみたいと思います。

肌を育てる=EPCsを整えること

美しい肌とは、どんな肌でしょうか。
前回も少し触れたように、近年ではEPCs(Emergent Perceptual Categories) という考え方が注目されています。これは、肌の印象を構成する4つの視点であり、肌診断機器の設計や、化粧品・美容医療の評価基準としても用いられています。

  1. Skin Tone Evenness(色調の均一性)
     肌色のムラが少なく、明るく均一に見える
  2. Skin Surface Evenness(表面の平滑)
     キメが整い、毛穴や凹凸が目立たないこと
  3. Skin Firmness(ハリ・弾力)
     肌が柔軟に弾むような張りがある
  4. Skin Glow(ツヤ・うるおい)
     自然なツヤや透明感、そして血色感がある

肌育とは、この4つの条件を、肌そのものの力で底上げしていくプロセス。
そのためには、単に「与える」だけでなく、「肌が育つ環境」を整えていくことが必要なのです。

肌を庭に例えると

肌を育てるという行為は、どこか“庭づくり”にも似ています。

ひとつの種だけでは花は咲かず、
肥料や水、陽の光、土の状態──すべてが少しずつ整って、やがて花がひらく。

肌における“育てる治療”も同じで、
それぞれの製剤が異なる役割を担いながら、少しずつ肌の土壌を整えていきます。

ここでは、そうした製剤たちを“肌という庭”になぞらえて、
その働きに応じて4つの役割に分類してみました。

種まき再生スイッチを入れるPN(ポリヌクレオチド/リジュランなど)線維芽細胞を刺激し、再生の起点をつくる
肥料材料と育成因子を届けるアミノ酸製剤(スネコスなど)コラーゲン・エラスチンの材料や設計図を届ける
地中の水分水分環境を整える非架橋ヒアルロン酸製剤肌の保湿とバリア機能の改善
根が張れる地盤深層の土台をつくるプロファイロ、ジャルプロスーパーハイドロ肌の内側の構造を安定させ、深層保水による土台の強化

PNは「スイッチ」であり「材料」

なかでもPN(ポリヌクレオチド)は、“肌育”の出発点のような存在です。
PNは線維芽細胞をやさしく刺激し、再生のスイッチを入れると同時に、
細胞が働くための材料(ヌクレオチド)にも分解されます。

肌の中で起きているのは、まさに「目覚めて、育つ」プロセス。
特にPNは、刻まれた小じわや浅い折れジワなどに対しても、肌自らが再構築を始める力を引き出すため、「しわを薄くしていく」再生的アプローチが期待されます。

一方で、非架橋ヒアルロン酸やプロファイロ・ジャルプロスーパーハイドロなどの製剤は、
肌全体の水分バランスや土台構造を整えながら、「しわが寄りにくい肌」へと導いていくのが得意です。
同じ“肌育”でも、今あるしわを戻すのか/これからのしわを防ぐのかで、目的や選ぶ製剤が少しずつ変わってきます。

「なにが足りないか」

すべての肌に、同じ成分が必要なわけではありません。
肌育とは、「何を入れるか」よりも「何が不足しているのか」を見極める作業です。

たとえば──

  • 慢性的な乾燥がある方には、まず非架橋ヒアルロン酸で水分環境の改善を。
  • ハリやツヤが落ちてきた方には、PNやアミノ酸で再生と材料の補給を。
  • エイジングが進んでボリュームが失われてきた方には、プロファイロやジャルプロスーパーハイドロで深層の土台を。

肌が整うには、順序があります。
そして、その順序は、肌の状態や年齢、生活習慣によっても変わってくるのです。

肌育は「長く付き合う」もの

肌を“育てる”という考え方には、「時間」が必要です。
一度で大きく変わる治療ではなく、肌と向き合いながら育てていくプロセス。

「良くなったような気がする」
その感覚が、数週間後、数ヶ月後に、確かな変化として現れてくることもあります。

肌はすぐに反応してくれることもあれば、ゆっくりとしか変われないときもある。
環境を整えることで、肌は本来の力を取り戻しやすくなる。
そんな“小さな再生”を支えるのが、肌育製剤の役割なのかもしれません。

さいごに

創傷治癒のように「壊して作る」治療と、
肌育注射のように「整えて育てる」治療。

どちらが正しいということではなく、
それぞれが担う役割を理解して使い分けることで、肌の未来はもっと整っていく。

Glowaでは、そんな視点でひとりひとりの「肌の育ち方」を見つけていきたいと考えています。
派手な変化ではないけれど、芯から健やかで、ふとした瞬間に“きれい”がにじみ出るような肌を。

そんな思いで、今、肌育治療のプランを密かに構想中です。

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