決めきれない時間の中で、少しずつ見えてきた事
―迷いの中で、誰かの言葉に光を見つけた日―
物件探しを進めながら、なかなか動き出せなかった日々。
答えをくれたのは、専門家ではなく、街の小さなコーヒー店での出来事。
地図をみても、決まらなかったこと
【物件探し vol.1】で書いたように、最初に立ち止まったのは「どこで開業するか」という問いでした。
円山か、都心部か。
生活圏として馴染みのある場所か、人が行き交う中心地か。
それぞれに魅力と難しさがあり、答えを決めきれないまま、私はスマホで物件を眺め続けていました。
けれど、どれだけ調べても「ここだ」と思える感覚には至らず、
ただ、場所が決まらないことには何も進められない。
その現実に、少しずつ焦りのようなものが積もっていきました。
書籍に導かれた、ひとつの視点
少しでもヒントを得たくて、私はKindleで「クリニック 開業」「美容医療 経営」と検索し、
いくつかの本を読むことにしました。
すぐに答えが見つかるわけではなかったけれど、
どの本にも共通して書かれていたのが「信頼できる開業コンサルタントを選ぶことの大切さ」でした。
その一方で、コンサルタントにも種類や質の違いがあり、
選び方を間違えると方向を誤るリスクもあることが記されていて──
頼るべきなのか、それとも自分で進めるべきなのか、また別の迷いが生まれてきました。
薬局が母体の会社、税理士法人から広がった組織、経営コンサルを専門とする企業。
それぞれに特徴があり、美容クリニックというジャンルに合うかどうかも判断が難しく感じられました。
ただひとつ言えるのは、美容医療は処方箋を出す業態ではないため、薬局系のコンサルとは少し距離があるということ。
そう考えると、資金計画や数字に強い税理士系や、医療業界に理解のある経営コンサルが現実的なのかもしれない。
そんな仮説を立てながら、開業経験のある先生方に話を聞いてまわることにしました。
ふとした会話に背中を押された日
何人かの先生に話を聞いてみると、「税理士を起点に開業を進めた」という声が多く、
その流れがひとつの現実的なルートになっていることを知りました。
けれど、コンサルを選ぶにしても、そもそも「どこで開業するか」が決まらなければ何も始まらない。
その迷いが、結局のところ私の足を止めていました。
そんなときでした。
行きつけのコーヒー屋さんで、何気なく開業の話をしてみたのです。
店主は少し考えてから、こう言いました。
「僕がジンギスカン屋さんをやるなら、絶対“すすきの”でやりますね。
競合が多いってことは、それだけ人が集まってるってことですから。」
その言葉を聞いた瞬間、これまでの思い込みがほどけていくのを感じました。
私はずっと、「競合が多い=避けるべき」と考えていたのです。
でも実は、競合の多さこそが、その場所に“ニーズがある証拠”なのだと、気づかされたような気がしました。
店主はさらに、こう付け加えました。
「その上で、自分なりの“プラスワン”を届けられたら、ちゃんと選んでもらえると思うんですよ。」
美容医療も、まさにそうかもしれない。
求める人が集まる場所に立ち、自分にしかできない価値を静かに添える。
それが、私が届けたい医療のかたちなのかもしれないと思い始めていました。
場所が持つ“力”を、あらためて
友人からも「王道から外れる方がリスクは大きい」と言われ、
“自分らしさ”と“立地の力”の両立について考えるようになりました。
円山のような落ち着いた場所も素敵だけれど、
札幌駅〜すすきののエリアは、人も情報も動いている場所。
SNSやWebを通じて美容医療に出会う人たちにとって、
アクセス性や視認性はきっと大切な要素になるはず。
「届けたい人に届く場所」とは、どこなのか。
少しずつ、その答えが見え始めていました。
導かれるように、最初の連絡を
そんなときに目に入ったのが、「好立地物件に特化した開業コンサルタント」の案内でした。
今の自分に必要なのは、”本の中の誰か”の正解ではなく、
一緒に考えてくれる相手なのかもしれない。
そう思いながら、静かに問い合わせフォームを開いて、送信ボタンを押しました。
それが、ようやく始まった「次の一歩」だったように思います。
次回予告|vol.3
見えてきたのは、「目に触れる場所」が持つ力。
診療圏調査を通して、円山と中心街の現実的な差を知った日。
そこで出会った、ひとつの物件の話。
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